最終営業日の塩ら~めんについて伺おうと、
開店直後に入店しお年始の挨拶を交わした。
常連だった50代前半の脳外のドクターが、
半年の抗ガン剤治療も虚しく病魔に勝てず、
味覚もなくなりそれでも通い続けてくれた。
せめて香りで味わって欲しいとの想いから、
15kgの海老の頭を火に掛けて酒を加え、
それを6時間かけて乾煎りして出汁を抽出。
塩ら~めんが好物だった故人に敬意を表し、
海老出汁をブレンドして提供されたとの事。
昨年の最終営業日、客足が落ち着いた頃に、
これまでは親子で一緒に店を訪れていたが、
その方の息子さんが一人で食べに来られた。
今回の最終日限定はお父さんが好きだった、
塩ら~めんを更に磨き直した事を伝えると、
それを申し訳ないと感じたのか息子さんは、
「すみません、お父さんは今日忙しくて…」
と、彼なりに訃報を知らせまいと返答した。
店主夫妻に余計な心配を掛けてはいけない、
そんな彼の気遣いに奥さんは涙が溢れたと…
十年過ぎると色々なお客様がいらっしゃる、
しみじみと話す奥さんの表情に私まで涙が…
久々に塩を頂いたが明らかに海老の味わい、
限定のライトバージョンで今月末まで提供。
昨日はヌードルライターさんも来店されて、
年明けから好調な滑り出しで素敵な雰囲気。