7月某日、店主から試作の味見を依頼されて、
仕事を終えたその足で、夜の『蓮々』さんへ。
他にも顔馴染みの麺好きが2名ほど招待され、
試作に対する率直な感想を聞かせて欲しいと、
店主が運んで来たのは氷の浮かぶ一杯だった。
冷やし塩ラーメン(試作)予価650円
澄んだスープに味噌ラーメン用の太ちぢれ麺、
貝割れと鶏ハムを盛りつけた冷やしラーメン。
スープは鶏ガラではなく動物系は一切使わず、
鰹・鯖・鰯のみを使った魚介出汁のスープで、
なるほど『游』の平山さんを意識されていた。
店主と平山さんは同時期に同じ有名店で修業、
それぞれ独立されて互いの方向を歩んでいる。
最近、店主は初めて『游』さんで実食されて、
かなり冷やしに刺激を受けたと話されていた。
油脂を極力取り除いたことでスープが絡まず、
魚介出汁の旨みと平行線をたどっている感じ。
また塩ダレが少し弱めで味の輪郭がぼやけて、
後1つ決め手が足りないとの意見で一致した。
試しに、柚子胡椒を加えるとメリハリが出て、
コストに影響が少ないプラス1を考えていた。
①梅肉で、塩気と酸味を加える
②レモンから、柚子皮か酢橘に変更する
③出汁感を強めて、塩味を補う
④おぼろ昆布で、出汁と塩気を補う
⑤醤油ラーメン用のタレを使用する
※この場合、塩ラーメンではなくなる(笑)
他にも、海苔・ごま・山葵・生姜・茗荷など、
全体的には素麺の薬味っぽいアイデアばかり、
色々と意見を伝えて最終判断を店主に託した。
25日に提供開始され、私は28日に訪れた、
ギリギリまで考えて出した答えがこれだった。
冷やし塩ラーメン 650円
丼も、冷やし用に新たに購入されたとの事で、
麺も太いちぢれから細麺に変更されていたが、
他にも見た目に分かる変更が2つ加えられた。
プラス1として店主は「塩こんぶ」を選んだ、
なるほど、ワンオペでもほぼ作業に影響なく、
ほんのりだが出汁感と塩気を補える優れモノ!
もう1つは出汁氷が浮かべられ「涼」を演出、
最後まで温度や濃度をキープしながら頂ける。
試作同様に魚介の旨みはしっかり引き出され、
これだけでも材料費は決して安くないハズだ!
細麺は、冷水で〆られ僅かに弾力が感じられ、
持ち上げた麺の束にスープが引き寄せられる。
塩こんぶが控えめにその存在感を滲ませるが、
自分なりに着地点を見つけて安堵されていた。
尚、替え玉は手間が掛かるため大盛りで対応、
店主の新たなチャレンジを今後も応援したい!